Q and A


🔍 本書では、医師免許の有無が診断の責任や意味にどう関係するかを詳しく掘り下げていますが

ここではその核心に関わる読者の疑問にシンプルにお答えします。

 

📚 [Amazonで紙版を読む]   ▶️ [Kindle電子版を読む]  


🩺 Q1:「非医師」とは誰のことを指しますか?

 

「非医師」とは、医師免許を持たない者を指します。
具体的には、次のような例が含まれます。

  • 歯科医師

  • 診療放射線技師、臨床検査技師

  • 研究者(医師免許を持たない医学系博士など)

  • AI(人工知能)

これらの「非医師」が、
何らかの方法で医師とおなじくらい病理診断ができるようになったとします(※)。
その場合でも、がんや全身の病気など医科領域の診断に関与する場合には、
たとえ専門知識や技術を持っていても、
医師法 †に基づく責任主体にはなれないという重要な問題が生じます。

 

※病理診断は、患者さんに直接ふれるわけではないので、
トレーニングがしやすいという特徴があります。
外科は患者さん相手だから、こういう問題はおきにくいのです。

 

 † 医師法:医師の業務範囲を定めた法律

 

  第17条(医業の独占)[業務独占規定]
    医師でなければ、医業をなしてはならない。


🩺 Q2:歯科医師って“医師”じゃないの?

 

日本の制度では、「医師」と「歯科医師」はまったく別の国家資格とされています。 

たとえ歯科医師が医科知識を有していても、法的責任を負える資格ではないため、
医科の診断主体とはなれないのです。

 


⚖️ Q3:医師が最終確認しているなら、それで問題ないのでは?

 

たしかに、「医師が確認しているなら大丈夫」と思う方も多いでしょう。
しかし、重要なのは実際に誰が実質的判断をしたかです。

形式的な署名だけでは、

  • 誰が診断を下したのか

  • どこまで責任を持ったのか

が検証できないケースが多くあります。

報告書の電子署名だけでは実態がわからないことがあるのです。

 

「確認している」という言葉だけでは、
本当に読解・判断しているか、あるいは形式だけの関与かが不明確なのです。 

 

 


🧠 Q4:診断の力があれば、資格は必要ないのでは?

 

診断能力が高いことと、制度上の責任を負えることは別問題です。
医療制度は、単に技量だけではなく、

  • 国家資格の取得

  • 責任主体としての公的保証

によって支えられています。

たとえ知識が豊富でも、医師免許がなければ、
その判断に対する制度的な責任を果たすことができません

これは医療という社会契約を守るための、不可欠な枠組みなのです。

 

※医療制度を社会契約ととらえる点は、プロジェクトのキーワード解説も参考にしてください。

👉プロジェクトキーワード解説に移動する。