キーワードで読み解く診断責任

-プロジェクトを支える概念フレーム


🌿本プロジェクトは、「診断の主体性」とは何かを見つめ直し、
制度と責任のあいまいな境界を、社会に問いかけています。

 

このページでは、プロジェクトの核心にある問いを考えるうえで必要なキーワードを簡単に解説しています。書籍ではより詳しく論じていますが、ここでは制度や責任の構造を理解するための基本的な言葉にしぼって紹介しています。


キーワード一覧

🩺 実質的判断主体とは?
→ 診断行為の責任は誰が負うべきか?

 

⚖️ 制度的責任とは?
→ 診断プロセスにおける組織・制度の責任配置を問う。

 たとえば、医師とそれ以外では責任の根拠や範囲が異なり、制度上の配置の違いが重要になります。

 

🏛 責任構造の可視化とは?
→ 医療制度の「見えない構造」を透明化する試み。


各論解説

このテーマに関する詳しい議論は、書籍『あな誰 Vol.1』で掘り下げています。

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🩺 実質的判断主体とは?

 

表面的な肩書きや公式なレポート上の責任者ではなく、
実際に診断内容を判断し、患者の命に直結する判断を下した実質的主体を指します。


現実には、形式上の責任と実態の判断者が一致しないケースも存在し、
その場合、構造的なリスクが生じるおそれがあります。

 

── 誰が診断したのか?
── その主体に、制度上の責任能力はあるのか?

 

この問いに向き合うことこそが、本書の出発点です。

 

 

⚖️ 制度的責任とは?

 

医療制度は、単なるルールの集積ではありません。
「誰に」「どの範囲の責任を負わせるか」という、
社会的契約の体系そのものです。


病理診断においても、医師である病理医が責任主体となるべきところを、
非医師が実質的判断を行う構造が放置されれば、
患者は本来守られるべき制度的セーフティネットを失います。
──本書では、この観点から考察を行っています。

 

 

🏛 責任構造の可視化とは?

 

病理診断は、患者の目に見えないところで行われます。
誰が、どのような判断過程を経て、診断を確定させたのか──
そこに責任の“実態”があるにもかかわらず、
制度の建前に隠れて見えにくくなってきました。


本プロジェクトでは、この隠された責任構造をあぶり出し、
「透明な制度設計」とは何かを問い直すことを目指します。

 

図:医科病理診断領域の非医師の関与による責任構造の曖昧化

 

※ここで言う「病理診断」とは、口腔外のがんや全身疾患等の、医科領域の重大な疾患の診断行為を指しています。

 ※歯科医師は、口の中しか法的に診断できず、口以外は法的責任をおえません(医師法17条)

 

この図は、医師以外の者が関与することで、医科領域の病理診断における責任構造がどのように曖昧になっていくかを三層に分けて示しています。

※この図は制度構造を説明するために編集した概念図であり、特定の個人・事例を批判するものではありません。

 周囲の文脈を省略した引用はお控えください。


この図の背景にある制度的構造や法的責任の詳細については、書籍で詳しく考察しています。

より詳しく知りたい方は、書籍『あな誰 Vol.1』もご覧いただけます。

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